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「地質とは巨大なパズルだ」──37年の知見で過去を紐解き、未来を守る
地質調査のスペシャリスト集団として、社会の安全を足元から支える──それが株式会社リソスフェアです。精緻な地盤モデルを武器に事業を拡大しつつ、今年はさらに一般の人々へ「地質の魅力を伝える」取り組みを広げています。
専門性と遊び心を掛け合わせ、Tシャツやカプセルトイといったユニークなグッズ企画も始動。業界内外へ地質の知見を発信する岡本幸次代表に、事業や展望についてお話を伺いました。
点の情報から三次元を描く──地質学のロマンを伝える挑戦
私たちの事業は、「地質」という地表面下では直接目に見えないものを相手にします。巨大なパズルを組み立てるように、地層や岩石のデータからその土地が持つ過去の物語を読み解いていくんです。点と点がつながって線になり、最終的に三次元の立体像として地形と地質の関係が違和感なく立ち上がってきたときの感動は、何度味わっても格別ですね。
昔から土を触るのが好きだったわけではないんですよ。学生時代、ゼミのコース選択肢で、「土」を選んだのがきっかけです。コンクリートや鋼構造といった計算式である程度答えが出るものとは違い、土には未解明な部分が多く、現場でしか分からないことがたくさんあります。私はそこに魅力を感じました。
「この場所は、むかし堰止め湖でした」、「焼けた地層がないので、ここは焼き討ちされていません」など。教科書には載っていないような、その土地の歴史を解き明かすことができる。これこそが地質調査の醍醐味であり、この仕事のロマンだと思っています。
一般の方向けの事業も始動しています。防災の観点から「花崗岩(かこうがん)」をはじめ、専門用語をプリントしたTシャツを作りました。この分野が好きな人たちには楽しんでもらえますし、一般のお客様にはギークシックの観点から繋がっていただければと思います。専門家同士のやり取りが中心だったこの分野の面白さを、例えばテレビ番組の『ブラタモリ』を見て地形・地質に興味を持たれるように、より多くの人に知ってもらいたいと考えています。
学生時代の学びと、40代で訪れた飛躍の瞬間
私が学生のころは、ちょうどバブル期真っ只中だったこともあり、とにかく建設業の勢いがすごかったんです。当時開催中の地盤イベント(ジオテクフェア)では、各ブースの方々の説明のあと、教授は学生達にわかりやすいような説明を次々加えていきました。「お客様に地盤の説明をすることが仕事になる」。これが、地質の道を極めるきっかけになりました。
大学生活後半は、卒業研究の一環として大企業の研究所に通学しました。そこで研究員の方々とふれあい、ときにはお酒を酌み交わしながら専門分野以外に「仕事とは何か」「人生で何を成すべきか」など、本当にたくさんのご指導を賜りました。当時自分なりに「人生でやるべきことリスト」を作ったんです。資格取得もその一つでした。あらかじめ目標を定めておけば、あとはそこに向かって一直線に進める。そのおかげで、高難易度と言われる技術士資格も30代のうちに取得することができました。
とはいえ、資格を取ったからといって、すぐ一人前になれるわけではありません。仕事のスピードが上がったと実感したのは、40歳を過ぎてからです。それまで時間がかかっていたことも、パズルのピースがカチッとはまるように、すんなり進むようになりました。積み重ねてきた知識と体験が、自分の血肉となり、お客様に対して最短でアプローチできるようになりました。時短は新たな事業組み立ての時間として有効活用することも可能なんですよ。
「嘘のない組織」で信頼を積み上げる
当社は少数精鋭で事業を展開しています。プロジェクトに応じて、時にはジャンルの異なるプロフェッショナルに参加を要請し、チームを編成して機動力を高めるスタイルをとっています。パートナーを選ぶ際に最も大事にしているのは、私的な都合で「嘘をつかないこと」。地中にある目に見えないものを相手にするため、わずかな評価の誤りが命取りになりかねません。納期を守る、約束を守る、そしてなにより、正直である。これらは信頼を築く最低条件と考えます。お客様からの依頼が増えていることは、今のメンバーが同じ価値観を共有してくれていて、チームが一枚岩である証だと信じています。
私自身がスタッフと接するとき、特に若い世代に対して、何気ない一言でモチベーションを奪ってしまわないよう、(時には失敗もしますが)使う言葉選びは細心の注意を払います。相手を尊重する姿勢を土台に、誠実なチームをこれからも育てていきたいと思います。
健康と技術を礎に、未来の危険を読み解く
これからの展望としてまず大切にしているのは、「一人ひとりの健康」です。温暖化は災害リスクの増加とともに、人命をも危険にさらします。猛暑による過酷な現場環境の中で体調を崩すことは、納期と品質に直結します。無理をしないこと、心を整えること──そうした自己管理意識を共有することで、結果的に売上や成果も自然と伸びていく。私はこのような好循環をさらに広げていきたいと思っています。昨今の技術の進歩によって、AIを用いた解析ソフトの精度も上がり、地質調査結果はこれまで以上に身近なものになるでしょう。しかし、データを正しく読み解くには専門的な知識が不可欠です。今後、ますます増加する災害リスクに備えるためにも、私たちは地形・地質から「未来の危険を予測する」役割を担い続けます。
同時に、業界の外に向けた情報発信にも、より注力していきたいです。専門用語をあしらったTシャツやカプセルトイといった遊び心ある企画をさらに進め、楽しみながら地質に関心をもってもらえるよう、活動します。
過去を紐解き、未来を読み解く。その知見を社会に広め、安全と安心につなげていく。それこそが私たちの使命だと思います。
【企業情報】 株式会社リソスフェア 代表取締役:岡本 幸次 本社住所:〒639-3125 奈良県吉野郡大淀町北野91-7 HP:http://www.lithosphere.jp/ 法人設立:2010年9月 代表取締役:岡本 幸次