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2024年 8月「SMBグロース企業賞」

地盤のスペシャリストとして、需要高まる「答えのない仕事」に向き合う

2024年 8月「SMBグロース企業賞」

株式会社リソスフェア(以下、リソスフェア)は、地盤調査や地下水解析といった公共性の高い事業を展開しています。調査・解析の結果は、防災やインフラ整備はもちろん、温泉や井戸といった地下資源開発にも活用可能です。

社会的に需要が高まる中、リソスフェアならではの強みとは。代表取締役の岡本幸次さんに、事業の詳細と併せてお話を伺いました。

モットーは「正直であること」

モットーは「正直であること」

私がリソスフェアを創業したのは2007年です。建設業界の不況が続いていた時期で、周りの会社がどんどん倒産していって。一人のサラリーマンでいることに不安を抱くようになり、自分で事業をおこそうと創業を決めました。

実は「リソスフェア」という屋号は創業前から決めていたんです。リソスフェアとは、地球内部の地殻とマントル最上部を合わせた専門用語。私たちは「地盤」について、工学的解釈を超えた領域を明らかにしていきたいという思いがあります。

前職でも同じ仕事をしていたのですが、「お世話になった勤務先のお客様をとってはいけない」という抵抗があって、お客様ゼロからスタートしました。幸いながら今では全国からご依頼をいただけています。

私たちがずっと大切にしてきたのは「正直であること」です。目に見えない所を調べる仕事ですから、ごまかそうと思ったらいくらでもごまかすことができる。「これでいいか」がまかり通ってしまいます。しかし、私たちが調査した場所に建物ができたり、インフラ整備が進みますので、人の命を危険にさらしかねません。中途半端な仕事をする自分を想像するだけで恐ろしくなりますよ。

答えがないところから答えをつくりだす仕事だからこそ仮のゴールを設定する

答えがないところから答えをつくりだす仕事だからこそ仮のゴールを設定する

私たちは「答えがない」ところから「答えをつくりだす」仕事をしています。だからこそ成果品は、お客様の納得感を大切にし、ひとつのリスクに対してわかりやすいカラーの図や写真をつけ、誤解のないようにできるだけ詳細に伝える、お客様の着眼点に対する結論を明確に提供する、といったことを重視しています。

仕事に向き合ううえで意識しているのは、最初にゴールを決めて仮説を立て、「こういうプランで進めよう」と逆算することです。もちろん設定したゴールが間違っていることもありますが、それは進めながら調整すればいい。この仕事はスピード感を強く意識することも重要で、トラブル物件を受けもつと、場合によっては何万人という人の生活に影響します。答えのない仕事だからこそ、先に見通しを立てることで工程が明確になり、業務をスピーディーかつ着実に進めることができるんです。

お客様から特に好評なのが「地盤モデル」です。例えば地すべりを解析するにしても、橋を造るにしても、そこの地盤がどうなっているのかというモデルが必要になります。モデルが間違っていると対策(ゴール)を誤るので、結果的に課題を解決することができません。地盤モデルの作り込みは地道な作業ですけど、設計や施工といったその後の工程を支える大切な存在なんです。

時代に合わせて立ち回りを変える

時代に合わせて立ち回りを変える

周りを見ると、同世代の仲間が引退したり、偉くなって会社の役員を務めるようになったりしています。そうなると当社としては、いかに若年層から信頼を得て仕事を依頼してもらえるかが重要になってきます。

それもあって最近は立ち回りを変えていて、例えば2022年に公共事業の指名入札に参加したりと、仕事の幅を広げている最中です。

事業面で言うと、地盤の中にできる「穴(空洞)」について探査できる探査器を最近新調しました。気候変動が進んでいる中、雨の量が増えることで、地盤の中に穴ができやすくなると見込んでいて。実際に、山の斜面を近くで見ると、小さな穴があいていることがあります。その穴をたどっていくと、大きな穴になっている場合があるんです。私たちならではの視点で皆さまの生活を支えることができたらと思います。

次世代の芽を摘んではいけない

業界全体を見ると若手人材が減っています。だからこそ、この業界で頑張っている若手がすくすくと育つよう、次世代の発掘や投資に力を入れるのも、キャリアの長い私たちの役割だと思うんです。

経験年数が長いからといって、偉ぶったり、手柄を横取りしてはいけない。相手が頼りやすい関係性をつくって、できるだけ力になる。「この領域で困ったらこの人に聞くといいよ」と周りを巻き込みながら業界を盛り上げて、若者の可能性を少しでも広げられたらと思います。

AIが台頭して私たちの仕事の在り方も変わっていくかもしれませんけど、現場で作業をするのは「人」です。それに、私たちの仕事が確実に実施されてこそ、設計や施工といった次の工程へと進んでいくことができるのです。

先がどうなるかは予測ができない部分もある。だからこそ、目の前の仕事に真摯に取り組んで、お客様に正直に向き合う。それが今、私たちに求められていることだと思うんです。

株式会社リソスフェア
代表取締役:岡本 幸次
本社住所:〒639-3125 奈良県吉野郡大淀町北野91-7
TEL:050-1337-4101
HP:http://www.lithosphere.jp/
法人設立:2010年9月